「人の想いを受け継ぎたい」という使命感
テキスタイル・ツリー代表 成田典子さん
北山大志郎さんの「ふるさと福井サポートセンター」の活動を知ったのは、2012年か13年頃だったと思います。福井県美浜町は、夫の故郷でもあり、過疎化する町の活性化に何らかの応援ができたらと思っていました。2014年、私が編集長を務める『つなぐ通信』で若狭特集ができることになり、早速北山さんに連絡を取り、当時できたばかりの敦賀市横浜のリノベーション施設「朱種(しゅしゅ)」で取材をさせていただきました。北山さんは故郷への想いが熱く、しかしまだまだ活動は試行錯誤という印象でしたが、その行動力に大変驚かされました。「朱種」で地域医療を復活させたいと、名田庄診療所の中村伸一先生を訪ねるなど、興味を持った人には積極的に会いにいく。思いついたら「まず動いてみる」。無謀でも空回りしても、前へ、前へと進み続けるので、人は力を貸したくなるし、この人となら一緒にやりたいと思ってしまう。だからどんどん形になっていくのです。
「ふるさぽ」の目的は、「空き家の利活用」を通じて、ふるさとに活気を生み出すことですが、忘れてならないのは、北山さんが空き家マッチングを行う原点となっていることです。かつて空き家の解体作業を依頼された時に、そこで丁寧に暮らしていた方のモノも想いも全てをゴミにしてしまわなくてはならなかった苦い経験があったのです。「残せるものは残したい」。つないだら次の世代が新しい何かを作ってくれるかもしれない。北山さんを動かしているのは、そこに住んでいた人たちの「想い」を受け継ぎたいという使命感ではないかと思います。何もかも新しくするのではなく、歴史や文化がつながっていくことで郷土愛が育まれていきます。北山さんの周りには、そういう想いをもつ人たちが集まってきます。そういう人たちとつながっていきます。これこそが大きな力ではないでしょうか。これからも歩みを止めることなく、郷土愛エネルギーを発信していかれることを願っています。