地方でSDGsを進めたいなら空き家マッチング活動からはじめるべし

社会全般的に持続可能性社会を目指すという流れの中でSDGsが非常に注目を浴びている。ただ個人的に感じるのは、SDGsという言葉が先走りして本当は何を行ったら良いのかあまり具体的な事例がないのも事実。あるテレビ番組を見ていると何をやってもそれはSDGsに繋がるといった考え方もあるようだが、いかんせん取り組み事例がないのとあるのとでは第一歩の踏み出し速度が違うのは、まちづくりの活動を行っていていつも感じることだ。

そういう思いもあり、今回SDGsと空き家マッチングについてお話ししようと思う。

この両者の関係はとても結びつきが強い。大袈裟にいってしまえば、空き家マッチング活動が地方のSDGsの取り組みとして一番住民にとって身近でとっつきやすいものである考えている。その理由をいくつか文にしてみようと思う。

まず、地域の課題としての空き家についてこれはみなさんご承知のところだと思うのだが、地方において一番の心配事といってもよいくらい空き家問題は身近なところに存在する。自身の問題としてもそうだが、集落や町内会での問題定義にもなっている。

しかしながらこの問題。地域に大きく関わる一方、問題の解決は所有者本人の決断が方向性を決める。所有者が近くにいれば関係性の中で解決できるのだが、遠方にいて、もうご近所との関係性が薄いとなるとさらに解決には程遠くなる。

次に空き家と持続可能性について今と同じように持続可能性社会を作り上げていくのはとても難しい。それは少子化、高齢化によって人口のバランスが崩れ始めていることが大きな問題である。

では地域においての持続可能性とはどういうことだろうか。

私が考えるには、未来に向けた計画的行動ではないかと考える。実際には、人口推移など含めてある程度未来は予想できるが、生活の様式がどうなっていくかまでは予想は難しい。未だかつてその現実を体験したことがないからだ。

しかしながらこの未来に関して体感できるのは、まちの佇まいだ。これは文章や数字に表しにくい。主観がものをいう分野だからだ。昔に比べて寂しくなったなとか暮らしにくくなったなとか便利さを含めて住民が感じることがそれだ。

これは住まなくなった家 いわゆる空き家が体感しやすい。今まで人が行き来し、生活の原点である家に人がいなくなり、あそこも空き家だ、次はここも空き家かというふうにじわじわとそれは襲ってくる。

将来3軒に1軒が空き家になるという調査もある。今でこそ5軒から7軒に1軒が空き家という状況で、昔とは変わったという表現をよくされる。私自身も5軒から7軒に1軒程度でも空き家だらけだなと感じるほどのまちの雰囲気だ。これが3軒に1軒となるともう想像を遥かに超えるくらい空き家だらけのまちと住民は捉えるだろう。

この状況を鑑みて、まちの持続可能性を考えるのであれば、住民が今直面している課題である空き家を取り上げるのが良いと考えている。さらにSDGsが取り組みやすい要因としては、先ほどもお話ししたように空き家と地域は密接に絡んでいる。課題としてあげた所有者の問題も実は地域の努力次第で所有者との関係性を復活できる可能性が大きい。

最近では薄い親戚関係を再度見直すことで、さらには地域での関係性を強化することにより、空き家の問題は解決の道を辿ることが多い。身近な社会問題さらには解決しやすい課題にいち早く取り組みことによって、遠いと感じているSDGsはより一層身近なテーマとして動き出すと考えている。