空き家問題の解決で、どうしても見過ごしがちな点があります。
それは移住から定住へという視点です。
空き家の利活用を、住まいを中心に考えるとすると、登場人物は、そこに住む人と移住者となります。
空き家マッチングのゴールとして、誰かに住んでもらうこと、移住者が空き家を利用することで問題は解決したように見えますが、実はそこはゴールではありません。
では次のステップは何かというと、それは、「移住から定住へ」です。
この流れをつくるために、私たちは、「家財道具片付けイベント」を行なっています。
先日もイベントが行われました。
その様子を少しご紹介します。
移住者の方が空き家を購入する際、内部の家財道具を片付けてもらうという条件付きの契約でした。
家族でぼちぼちとクリーンセンターに、持って行っていたのですが、量も量だったので、進捗は良くなく、リフォーム工事も控えていたので時間に余裕はあまりありませんでした。
そんな姿を見て「片付けイベント」を計画しました。
ただこのイベント、NPOで主催するとなると、私たち活動者でしかイベントは成り立たず、交流もありきたりのものにしかなりません。
ここは、移住者の方から声がけをしてもらって「片付けを地域のみなさんで手伝ってもらえないでしょうか」という発信をライン等で行なってもらいました。
その発信を受けて、わたしたちふるさぽもそして地元のキーマンも一斉に動きました。
特に地元のキーマンの動きが素晴らしかった。
地元の方に声掛けをしていただき(ここめっちゃ大事で、信頼関係のある方の一言は強い!)
軽トラを持っている方
地域でも顔が利く方
これからお付き合いする上で関係性が濃くなるような方
とにかく人選がすごかった!
日程も決まったんですが、荷物が多いのもあり前日準備だけでもしておくかと私も軽トラを運転し、その現場近くに行くとなにやらたくさんの人の声が。。。
もう地元の方が集まって、明日の荷物の準備をしてるではないですか!
これには驚きましたね。
明日が本番当日だというのにそれぞれが心配してくれて、前の日から軽トラへ積み込み、当日合わせて十台の軽トラで搬出しましたが、そのうち七台が前日に積み込み完了しました。
そして次の日は、三台積み込みを終わらせていよいよクリーンセンターに持ち込みです。
なんせ十台の軽トラが一列に並んで移動ですから、みなさん想像するとわかると思うのですが
とても異様な雰囲気(笑)
軽トラショーでもあったのかという雰囲気です。
クリーンセンターでは全員で荷物下ろし。
人数が多い分一気に片付いていきました。
片付けイベントは当日午前中で終了。
そのあとお昼を空き家の一室を使ってみんなでカレーを食しました。
このカレーはお隣の方が前の晩から、作ってくれたもの。ここにも近所愛を感じますね。
みんなでそのカレーをいただきながら軽トラショーのようで面白かったねとか、片付けイベントが大変なことではなく楽しいことに、もうみんなの中で変化していました。
いわゆる思い出がひとつできたわけです。
その後みなさん家路につき興奮止まずSNS等でその時の状況を投稿。
またこの投稿でたくさんのコメントが付き活動が広く伝わって行きました。
ここまでが片付けイベントの一連の流れです。
このイベントは単なる行事として動いているのではなく、移住者と地域のつながりを家財道具処分に困っている移住者の声として地域のみんなが手を差し伸べ、それに対して互いが理解をしいい形の貸しと借りの関係ができたわけです。
この関係性の貸し借りはお金では解決できません。
そしてルールでもなんでもないわけです。
気持ちと気持ちがつながったそんななにものにも変え難い貴重な体験と言ってもいいかもしれません。
この関係性ができた後には、移住者の方は「ここに来てよかった!」となり、この地域の良さを仲間たちにきっと惜しげもなく伝えてくれるでしょう。
さらに地元の方は、「いい人に来てもらった!」となり、次の空き家を紹介してくれたり自身で探し出してくれたりと、いままで簡単にできなかった空き家の掘り起こしがスムーズに進行していくわけです。
いわゆる新しいキーマンの誕生です。