理事長からのごあいさつ
この度は、地域再生大賞という大きな賞をいただくことができました。関係各位のおかげでいただけた賞です。ありがとうございました。
福井新聞さまから福井県代表としてのエントリーのお話をいただいた時には、ふるさぽの活動自体が地味で小さな動きの連続なので、大きな賞をいただけるとは思ってもみませんでした。ただ、審査してくださる以上は、取り組みへの思いや現状についてしっかりとお伝えしなければいけないという一心でした。
改めて自身の活動を評価していただけたことを分析してみると、空き家の取り組みから始まり、自主的な地域の活動へつながっていった経緯であろうと考えています。空き家に関わる活動から見えてくる地域の課題に真摯に向き合い、洗い出した課題を整理して次の計画へと地道にかつ戦略的取り組んできたことで、少しずつ地域の広がりにつながっていったのではないかと思っています。
当初、私たちは空き家を探し当てて、そこに人に住んでもらうことが空き家問題の解決になると簡単に考えていました。そんな安易な気持ちで空き家マッチングツアーを始めましたが、すぐにたくさんの課題が出ました。そのひとつが、「空き家はたくさんあるけれど流通に出してくださらない」という空き家問題の根源に関わる問題です。
のちに、私たちは広い活動の中から「所有者の早期決断」こそが空き家問題解決への第一歩だと認識し、活動を絞り込みました。課題解決のため、仕組みづくりに時間を費やすようになりました。
空き家問題は単純なロジックや流れだけで解決できるほど安易なものではないと活動の中から理解していて、所有者だけではなく、集落や親戚、友達といった関係性を重視しながら仕組みを作り上げていくことは大変な作業でもありました。ITを駆使しながら作り上げた空き家調査システム『ふるさぽマップ』、所有者の早期決断を促すための『おねだんシミュレーションソフト』、『どうする?空き家』といった診断ツールなどを仕組みの一つとして作り上げました。
また、仕組みを作り上げるだけでは問題解決には近づかないことも、私たちは活動の中から気づいていました。大切なのは人と人とのつながりです。空き家が所有者にとって大事な実家やお家であることはまぎれもない事実です。そう簡単に決断することは容易ではありません。仕組み作りのほとんどが、実はコミュニケーションを通じてつながりをどう構築していくかという点を重視しています。地元美浜町のみなさんに「ふるサポーター」としての協力を得ながら、作為的ではない社会活動への参加を自然発生的につくりあげていくかに注力しました。結果、地元の皆さんが自主的な地域活性化につながる活動に進む流れができてきました。
どうしてもこういった活動は、KPIといった数的結果として現れにくいことが多く、多くの方に理解いただくことが難しいのですが、今回の地域再生大賞の審査員や関係者のみなさんからこれほど素敵な評価をいただけたことは、私たちはもとより、他の地域への励みにもなります。
私たちは、これからさらに地元美浜町を中心に空き家問題さらには地域の発展のために地道な活動を続けていきます。さらには、私たちの活動が全国の空き家に困っている地域やまちづくりに尽力されているみなさんのお役に立てるように、アイテムの提供や活動支援のお手伝いができればと思っています。
ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございます。
スタッフを代表してありがとうをお届けさせてください。
令和2年1月
NPO法人 ふるさと福井サポートセンター
理事長 北山大志郎