ふるさぽの空き家マッチング活動が地元美浜町に広がってきました。活動当初から幅広い活動者が空き家マッチングの力になると思ってきましたが、子どもたちをどう活動につなげるかという課題が何年もありました。
今回の美浜西小学校の取り組みによって、私たちの想いがつながりました。子どもたちの自主的な活動がさらに私たちの力になっていきます。その様子をぜひご覧ください。
レポート
美浜西小学校は福井県のNIE 教育(新聞を活用した教育)実践指定校(2年間の2年目)に指定されています。特に2年目の学校は授業公開を積極的に行うことになっており、9月下旬の祖父母参観日の際に、6年生は児童が関心をもっていた空き店舗や空き家についての授業を行いました。ちょうど授業を行った9月20日の朝刊にはふるさと福井サポートセンターの行っている「空き家アイドリング」の記事が掲載されており、授業の導入としてその記事が扱われました。授業では、記事の紹介後、祖父母から昔空き家はあったのか、や、今空き家になっている家は昔どんな家だったのかをお話していただき、その後、年内市町の新聞記事を読み合い、空き家の活用アイデアを班ごとに考えて発表。例えば、新庄大谷原のさつまいも収穫体験の記事と池田町の廃校になった小学校を活用した子どものお絵かき体験の記事を選んで、空き家の畑でさつまいも収穫体験をし、親子で料理教室をしたり、子どもの遊び場にしたりするといった案が出されました。
この授業の様子が9月21日の新聞に掲載されているのを見て、西小学校に連絡をし、子どもたちが空き家を見学したいということを聞きました。
学校側と連絡を取った後、10月24日早瀬近藤邸と久々子蒼舎を見学し、近藤邸にて北山と所有者である近藤さんが空き家についてのお話をしました。この頃には、子どもたちは空き家を使ってカフェのようなイベントをしたいというところまで、話は進んでおり、近藤さんにも現地で了解を得ることができました。同日子育て支援センターへも見学に行き、来所者の方に「空き家を活用したカフェをしようと思っているのですが、どう思いますか?」など、反応を伺う調査を行い、支援センターの所長さんからも協力を得ることができました。11月8日美浜西小学校にて、平城先生、北山、原田の3人で打ち合せを行いました。平城先生より空き家活用カフェプロジェクトについての目的や内容を聞き、事前清掃やカフェの日程調整をしました。
空き家活用カフェを行う日時が決定し準備の活動に入りました。子どもたちは、事前の準備グループと当日の活動グループの2つに分かれて準備を進めました。班ごとにグループリーダーを決め、リーダーを中心に話し合いによって、何をするか、決められた時間をどう使うかを決めて準備を進めました。
空き家アイドリング活動の学習と実際に子どもたちが運営するカフェに対する意識を高めるために、12月6日近藤邸の事前清掃活動を行いました。清掃の前に、原田がふるサポの行っている空き家アイドリングについての説明や空き家の清掃方法、注意点、なぜ清掃をするのかを子どもたちに伝え、その意味を知った上で、掃除を行いました。子どもたちは寒い中、一生懸命時間いっぱい取り組みました。
その後、はあとぴあに移動し、育児講座の会場で実際にチラシを配りカフェの勧誘を行いました。子育て支援センターにも行き、最後の勧誘を行いました。この日までに申込は3組しかなかったのですが、子どもたちが直接勧誘を行ったことにより7組増え、計10組21名の親子から申込がありました。
カフェ本番まで残り2回の授業で準備をし、当日を迎えました。12月12日、空き家活用カフェ当日。9時30分に近藤邸に到着した子どもたちはさっそく飾り付けに入りました。空き家活用カフェプロジェクトの大きな看板や、バルーンアート、紙コップや折り紙を使用した飾り、カフェのメニュー表まで手作りで工夫されていました。子どもたちはどこに飾り付けたらいいかなど相談しながら、着々と準備が進みました。準備が早く終わり、参加者の方々が到着するまでの時間、指人形劇や空き家クイズの練習をしながら待ちました。もうすぐ到着するという連絡が入り、玄関でお出迎え。少し緊張した面持ちでしたが、参加者の方々が来られると、笑顔で対応し中へ案内していました。10時30分に児童代表が挨拶をしてカフェがオープンしました。開店セレモニーが終わると、子どもたちは当日活動グループの3つに分かれてカフェを運営しました。
カフェグループは、カフェメニューの提供、接客。大人対応グループは、空き家クイズ、大人への対応。子ども対応グループは、子どもへの対応。10時35分になり、カフェグループと大人対応グループはオーダーをとり、子ども対応グループの指人形劇が始まりました。10時45分、ドリンク・お菓子を出し、空き家クイズが始まりました。カフェグループが出したドリンクはすべて、当日オーダーをとり別室で作りました。お菓子のりんごゼリーは前日。ドーナツとクッキーの生地は前日に作り、焼く作業は当日の朝行いました。
大人対応グループの空き家クイズは、10月24日近藤邸見学の際に聞いたことをもとにして作ったものを出題しました。11時15分、アンケートを書いていただき11時25分閉店セレモニー。児童代表が挨拶をし、11時30分に閉店。玄関でお見送りをした後、素早く片付け作業に移りました。片付け終了後、近藤さんへ子どもたちからお礼の言葉があり、近藤さんも、大成功を収めた子どもたちも嬉しそうでした。
第2回目の空き家活用カフェは1月を予定しています。
【当日活動班】
カフェグループ | カフェメニューの提供、接客 |
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大人対応グループ | 空き家クイズ、大人への対応 |
子ども対応グループ | 子どもへの対応 |
【事前準備班】
カフェグループ | カフェメニューの試作、オリジナルのコップ、皿の作製 |
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企画グループ | 看板作製、タイムテーブル作成、お土産作り |
デザイングループ | 間取りの使い方決定、エプロン作製、飾り作り、チラシ作成 |
交流グループ | 人形劇の企画・運営、遊び道具作り |
【カフェメニュー】
ドリンク | フード |
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麦茶、コーヒー、ミルクティー、ココア、コーヒー牛乳、りんごジュース | ドーナツ、クッキー、りんごゼリー |
【クイズ内容】
空き家クイズ |
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1.美浜町は今、空き家の件数は、何件でしょうか? |
2.空き家が多い地区は、どの地区でしょうか? |
3.美浜町の空き家は何件使えるでしょうか? |
4.将来、空き家は何件になるでしょうか? |
5.空き家が、増えていっている理由はなんでしょうか? |
6.空き家を壊さない理由はなんでしょう? |
7.空き家が多い県は?(件数) |
8.空き家が少ない県は? |
活動後のアンケート結果・感想
その1.参加者のアンケート回答
1.楽しかったこと、良かったこと
- アンパンマンの手作り劇をしてくれたこと。おもちゃをたくさん用意してくれていて、うれしかった。
- 手作りのおもちゃ、おかし。たくさん遊んでもらったこと。
- 普段小学生と子どもが関わることがないので、よい体験ができた。
- 子どもが好きなアンパンマンの人形劇、手作りお菓子、特にりんごゼリーはおいしくいただきました。一生懸命子どもと遊んでくれました。
- 空き家のクイズで美浜の現状を知って勉強になりました。普段は入れない古民家で美味しいおやつをいただいて楽しかったです。
- 小学生のお兄さん、お姉さんと子どもが交流できたこと。アンパンマンの出し物もよかったです。飲み物やお菓子、子どもがすごく喜んでいました。
- 全部よかったです。心のこもったおもてなし、ありがとうございました。子守もとっても上手で、少しの間でしたがリラックスして過ごせました。
- たくさんの手作りのおもてなし、うれしかったです。古民家も普段入ることがないので、おもしろかったです。
- 手作りおかしがおいしかった。たくさん遊んでくれたので、うれしかった。
2.改善してほしいこと
- 赤ちゃんと遊ぶ担当を決めて、危ない所へ行こうとした時など、ずっと見ていてもらえたらうれしい。
- もう少し広いスペースがあるとよいかも。今度はあたたかい時期に外で一緒に遊べるといい。
- もう少し、部屋が広いといいです。
- ストーブ、温かい飲み物は少し子どもには怖かったです。人が多くて自由に動きまわれないこと、人形劇が見えなかったことが残念でした。
- 熱い飲み物が少し危ないと感じました。遊びの時間とおやつの時間を分けてもらえるといいかなと思いました。
- ストーブや温かい飲み物など危険なものが手の届く範囲に多く、気をつかいました。
- ストーブに柵をしてほしい。もしくは春か秋にしてほしい。
- 子どもをみる部屋とお茶をする部屋をしっかり分けると、お茶をこぼす心配がなくよかったかも。
- 指人形をもっと高い位置で大きな声でやってほしかった。
3.次回してほしいこと
- カフェ、ダンス(子供向け)
- 次回は外遊びもしてみたい。
- 読み聞かせ。
- 家の中を探検したいです。
- このようなイベントを、またぜひ計画してください。喜んで参加します。
- 子供向けの手遊び歌など、あると喜ぶと思います。
- 子ども1 人に対して担当を決めてみてもらえると、安心できると思います。子ども用のストローがあるといいです。
- また、カフェを開いてほしい。
4.その他
- カフェの完成度が高く、とてもよかったです。飲み物やお菓子も大満足でした。お兄ちゃん、お姉ちゃんと遊んでもらえて息子もとても楽しかったと思います。遊び方も上手!
- 企画や準備ありがとうございました。リラックスして楽しく過ごすことができました。
- たくさんの準備やかざりつけ、手作りの品などお疲れ様でした。短い時間でしたが、地元の小学生と交流できて楽しかったです。たくさんのお菓子や飲み物ありがとうございました。
- 継続して、同じような取組みを行ってほしい。準備から当日まで本当にお疲れ様でした。
- 空き家がとても落ち着く空間で、ゆっくりできました。西小学校のお兄さん、お姉さん、やさしく声をかけてくださり、ありがとうございました。
- とても楽しかったです。ありがとう。
- おやつ、おいしかったです。たくさん遊んでいただいて、ありがとうございました。
その2.参加者から事後に届いたメール
- 本日は、空き家活用カフェに参加させていただき、ありがとうございました。外はあいにくのお天気でしたが、カフェは、手作り満載で、とてもアットホームで、とても楽しかったです。空き家の飾り付けにカフェメニュー、クイズや指人形劇など、盛りだくさんで、本当にすごいな~と思いました。たくさんおみやげまでいただきありがとうございました。また、機会があれば、参加してみたいなと思いました。本当にありがとうございました。
- 先ほどはとても楽しい時間をありがとうございました。行くまでは、どんなことをするんだろう、どんな場所に行くんだろうと思っていましたが、暖かいお部屋で、温かい笑顔に迎えてもらえてとてもワクワクしました。息子は初めての場所に緊張していたのか最初は私から離れようとしませんでしたが、皆さんから「遊ぼう」と声をかけてもらったおかげで少しずつ慣れたようで、私も美味しいお菓子を頂きながら時間を過ごすことができました。クッキーもゼリーもドーナツもとても美味しかったです。空き家クイズでは美浜のこと、空き家のことも勉強になりました。今日実際にお伺いしたお家はとても立派な造りで、空き家にするなんて勿体無いと思いましたし、このような取り組みがたくさん開催されたら素晴らしいだろうなと思います。私たちがお世話になったのは二時間弱でしたが、きっと何日も前から準備をされたのだろうなと感じました。本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。
その3.児童の感想
- 今日の空き家活用カフェでは、みんなで協力してお客さんを楽しませることができました。でも、まだまだ改善しなければいけないことが分かりました。赤ちゃんも楽しんでくれたし、遊んでいない子には積極的に遊んであげることができました。今回、この空き家活用カフェをするのに空き家を貸してくださったので、いろいろな人とのふれ合いもできました。だから、この空き家には、とても感謝しています。これからも今の空き家の現状を知ってもらって、この先みんなで空き家を減らしていきたいです。今回のプロジェクトを生かして、少しでも美浜町がよくなっていくようにしたいです。
- 空き家を使わせてくださった近藤さん、空き家を管理している原田さんと北山さんが、僕たちに空き家のことをたくさん教えてくださいました。おかげで参加者の人たちに空き家クイズを出すことができました。また、空き家の貴重さ、空き家がなぜ残されているのかなど、とてもわかりやすく説明してくださいました。そして、本番当日、教えてくださったことを生かして、みんなで協力して成功させることができました。子どもたちも、ぼくたちも楽しむことができました。寒い中、近藤さん、原田さん、北山さんに協力していただいて、とても感謝しています。
- 私は、とてもワクワクしていました。カフェグループではお菓子の試作品作りやコップなど協力して作ることができました。前日、交流グループの指人形をやるかやらないかでもめました。私は、もめたからこそ、当日大成功をとげることができたと思います。裏でカフェのお茶出しやお菓子の準備など、協力してできたので、よかったです。次回する時は、今回よりもっといいものをつくりたいです。
- 私は、今日の空き家活用カフェプロジェクトで、みんなで協力できたし、コミュニケーションもとれたので、大成功だと思います。今日は、子どもたちも楽しんでくれたし、お母さんたちも楽しんでくれたと思ったので、次回はもっとよりよくなるためにアンケートでもらった意見を参考にしてやりたいです。次はダンスや親子で楽しめるものをしたり、部屋がきゅうくつという意見があったので、もう少し広げたいです。お菓子もおみやげも喜んでくれてうれしかったです。
- 約1ヵ月前から準備してきて、私たちに「自分たちで行動する、みんなで協力する、相手(来てくれる人)のことを思って準備する」ということが一番身についたと思います。準備グループの4つに分かれて今まで19 人で協力し、話し合いをたくさんして一人一人が納得するまでがんばってきました。前日グループと当日グループの両方の準備をするのは大変だったけど、みんなで協力することができたのでよかったです。前日の話し合いでは交流グループの「あきらめない気持ち」がみんなにあり、相手のことを考えてがんばっていてすごいなと思いました。当日ぎりぎりまで準備したり、練習したりしました。参加者の方がクイズに参加してくださったり、アンケートに答えてくださったり、私たちも積極的にコミュニケーションをとることができて、空き家に感謝しながらAKPが無事「大成功」できて本当によかったと思います。