いま多くの市町空き家担当者が困っています。
- 「空き家数が多いけど、空き家バンクの登録が少ない」
- 「空き家対策 何からはじめてよいか正直分からない」
- 「特定空き家のことばかり、、、本当にこれでいいの?」
はじめまして。私は福井県美浜町で空き家マッチングツアーを中心に空き家活動を行っております、NPOふるさと福井サポートセンター理事長の北山大志郎です。
みなさんにお伝えしたいことがあります。
冒頭にもありましたが、平成27年から施行がはじまった「空家等対策の推進に関する特別措置法」。いわゆる「空き家特措法」により、市町担当者の現場が困惑しているのをご存じでしょうか?
法律によって特定空き家が行政代執行として対応可能になり、情報も固定資産の税情報も必要となれば利用できるといった、とても行政としては動きやすい状況になった一方で、増え続ける空き家の対策にどう手をつけていいか分からない状態になっています。空き家の流通を促進しようと設置している「空き家バンク」を平成30年度から「全国空き家バンク」とし、広く空き家を探してもらおうという取り組みもはじまりました。しかしながら、現場では受け皿は整ったが実際の体制作りができていない、ということをよく耳にします。
私たちの団体は、空き家の掘り起こしから空き家の利活用、さらには移住定住の取り組みまで、行政との協力により進めてまいりました。経験上、現場レベルで見出した解決に向けてのポイントが次の2つです。
- 空き家問題は川下でなく川上にどう取り組むべきか
- 所有者の決断をどう促すか
1.空き家問題は川下でなく川上にどう取り組むべきか
多くの市町の対応は、空き家の苦情や特定空き家の対策で手いっぱいの状態です。正直、空き家の利活用にまで手が届かないのが現実です。
ある民間調査で、2033年には空き家率が30%を越えるのではないかという情報がありますが、これからの高齢化社会を鑑みるとあながち外れた情報でもなさそうです。今あるすでに空き家になっている多くの物件に目を奪われがちですが、実はこれから空き家になるいわゆる「空き家予備軍」についても、きちんと対策の対象に入れる必要があるのです。
時間が経過すれば、空き家はどんどん古くなり使えなくなります。それは山から海に流れる川のように、時間が経過すれば川上から川下に流れていく。今はまだ新しい家も、時間が経過すれば必ず古くなっていく。それをイメージ図にするとこんな感じでしょうか。
このイメージ図のように、多くの行政の取り組みは川下の取り組みがメインになっていて、川上の対策がほとんど行えていないないのが現状です。そしてさらに、これから増えていく空き家をイメージすれば、川上の段階でどのように空き家を流通に出すかという点が、空き家の問題解決を大きく変えていくポイントになることがわかるでしょう。
2.所有者の決断をどう促すか
空き家「川上対策」として、もうひとつ大事なのは所有者の決断です。
私たちの経験上、空き家所有者の気持ちは必ずと言っていいほど大きく揺れます。今日売りに出す決断をしても、次の日の「まだ手放さない方がいいよ」という近所の人からの何気ないひと言で決断がひっくり返ることも多々ありました。
空き家は個人の所有物ですから、こちらから無理強いするのもおかしな話ですし、行政がその決断に関与することはとても危険なことだと思います。
つまり、空き家は空き家所有者が決断するしかないのです。
私たちはこの問題に真摯に取り組み、ある方法で決断を促しています。それは所有者の中で不明瞭となっている問題の整理をサポートするのです。
整理のポイントは「お金の整理」「行く末の整理」「気持ちの整理」の3つがあります。
お金の整理
手放すと決めるときには、お金の問題が一番大きく絡んできます。売却、賃貸、さらには解体、税金、登記などあらゆることにお金が必要となります。私たちはこの大事な問題をきちんとシミュレーションできる仕組みを持ち合わせています。『ふるさぽ 空き家おねだんシュミレーションソフト』というiPadを使った方法で、相談会などに活用してお金の問題をクリアにしています。
行く末の整理
空き家を放置すると最終的には所有者が解体を行わなければなりません。しかしながら、所有者はその道筋をイメージできません。まだまだ売れると思っていたらあっという間に10年経ってしまって、もう売るにも譲ろうにも誰ももらってくれない状況になってしまうこともよくある話です。そうならないためにもしっかりと次の未来予想ができるようにメリット、デメリットを伝え、行く末の整理をクリアにしています。
気持ちの整理
所有者の決断で一番ウエイトが高いのは、気持ちの整理です。所有者にとっては実家や思い出のたくさん詰まった場所であることには間違いありません。人の手に渡すということは大きな決断です。コミュニケーションをしっかりと取れるよう独自で開発したヒヤリングシートを用いて気持ちの整理を行い、次の住み継ぐ方へのメッセージを伝えることで、揺れる気持ちをしっかりと決断へと導いていきます。
講演会を開いて市町が動く大きなきっかけをつくりませんか?
このように「空き家の川上対策」と「所有者の決断」という2点が、これからの空き家問題解決にはとても重要なポイントです。このポイントをしっかりと市町担当者のみなさんに理解していただくことが空き家問題解決に近づく第一歩。つまり、市町が動く大きなきっかけとなると考えています。
みなさまの県が市町行政担当者を集めて行っている空き家協議会や空き家勉強会に、私たちの取り組みを講演会として行いませんか?
日程や価格等の詳しい内容につきましては、お気軽にお問い合わせください。なかなか前に進まなかった空き家対策が大きく動きだします。
私たちの講演内容は他にも多数メニューがありますので、ご参考にしてください。
講演内容
具体的な講演タイトルは下記の内容になります。お時間や狙いに合わせて組み合わせての講演も可能です。
- 空き家の流通関連
- 民間と行政関連
- 利活用と移住関連
(01)空き家の掘り起こしについて
(02)所有者の決断について
(03)空き家予備軍対策について
(04)ふるサポーター(活動支援者)の協力について
(05)民間団体が行う空き家実態調査の心構え
(06)空き家データベースの活かし方
(07)地域住民が主役の空き家マッチング活動
(08)所有者のゆれる気持ちについて
(09)社協とのコラボレーション
(10)空き家対策を地元でするということ
(11)空き家アイドリング(見回り)サービスについて
(01)NPOと行政の協業について
(02)民間団体の空き家対策の関わり方
(03)町と協定することの意味
(01)リノベーションと地域活性化について
(02)移住おためし体験施設について
(03)空き家利活用のいろいろ(ハードについて)
(04)空き家利活用のいろいろ(ソフトについて)
(05)空き家と関係人口とまちの活性化について
(06)地域自立型空き家再生方法
(07)小学生の空き家学習カリキュラム
(08)多拠点活動と空き家
講演会の参加者からの声
- 私たちの地域ではすぐ生活できる空き家がごく少ないと思うので、川上の対策が必要。
- 空き家を人と人との思いの詰まったモノとして接することの大切さ、重要性を知った。
- 本市の取り組みがいかに遅れているかがよくわかったが、市になると動きがにぶくなかなか紹介されたようにはできない。なんともじれったい状態である。
- 地域おこし協力隊として地域の見守りをする中で、空き家に対する不安を多く聞きなにかできないかと参加しました。空き家予備軍の情報提供や実態調査の情報提供実態調査のサポート等、自分にできそうなヒントをもらえ、非常にためになった。
- 今までのセミナーの中で一番クオリティが高い内容だった。
- 空き家対策のための様々な具体的な取り組みが興味深かった。何事も人の思いや気持ちが重要なポイントということを感じさせられた。
- 今後もNPO法人ふるさと福井サポートセンターの情報提供がほしい。
- 行政だけでも民間だけでもだめ、協業の重要性がわかった。
- 空き家予備軍の情報など参考事例をたくさん聞きたい。
お問い合わせ
NPO法人ふるさと福井サポートセンター
TEL&FAX:050-3565-5782
info@furusato-fukui.com
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