ふるさぽレビュー:嵩和雄氏(NPO法人ふるさと回帰支援センター 副事務局長)

今のように地方創生の動きもなかった時代から続く「諦めない姿勢」。

NPO法人ふるさと回帰支援センター 副事務局長 嵩和雄さん

北山さんに最初にお会いしたのは2010年の秋。ふるさと回帰支援センターが内閣府からの業務委託の一環で農山漁村での起業家支援を行うする「農村六起」プロジェクトを行っていたときでした。
北山さんは、当時は本業とは別に、空き家の見守り業務「ふるさと見張り番」を行っていたが、「見守りだけでは地域の衰退は止められない」との思いで、空き家の利活用を行う法人の立ち上げを企画していました。
まだ今のように地方創生の動きもなく、地方移住そのものの認知度が低い中でのNPOの立ち上げは持続性を考えると非常に難しく、空き家マッチング以外の柱を作ったらどうか、というアドバイスも行いました。

ビジネスコンペでのプレゼンテーションでは、ふるさと美浜への熱い思いと、住まい手の思いが残る住宅を建築に携わる人間として、ただ壊していくことへの憤りを語り、そこに住み続ける住民のための活動をしたいという思いを審査員に伝えていました。
ビジネスコンペの審査基準は「事業性」「雇用創出効果」「社会性」「連帯性と資質」であったが、審査員の評価で高かったのはやはり北山さん自身の「熱意・資質」でした。立ち上げ後の取り組みは、ホームページに詳しく書かれていますが、客観的に見ると「諦めない姿勢」がこのふるさぽが評価されたところだと思います。

その後も、何度となく美浜町を訪れましたが、行くたびに新しい取り組みが始まっていて、話を聞く都度こちらもわくわくしてきます。
住民自らが利害関係を越えて当事者意識を持ち、住み継がれる地域を創っていく。これからもふるさぽがそうした地域の軸になり、みんながわくわくする取り組みに期待します。