ふるさぽレビュー:山崎亮氏(コミュニティデザイナー)

「ふるさぽ」の覚悟と態度が生み出す未来

山崎亮さん(コミュニティデザイナー)

これから「ふるさぽ」を褒めたいと思う。褒めているようには思えないかもしれないが、私は「ふるさぽ」の態度にこそ地域の未来を変える可能性があると感じている。

「ふるさぽ」はひどく素人っぽい。専門家っぽい顔をしない。何かを相談されると、相談者と同じように困った顔をする。一緒に悩む。その都度、調べる。そして、何とか解決策らしきものを見つけ出す。しかし、それが本当の解決策かどうかも定かではない。やってみなければわからない、というアイデアが多い。

数年先に日本や世界がどうなっているのかなんて、専門家も予想できない時代だ。だからこそ「なんでもご相談ください。抜群の解決策をお示ししましょう。私に任せれば間違いありません。何しろ私はその道の専門家ですから」という態度はどうも信用できない。「本当かよ?」という気持ちになる。それよりは一緒に悩み、何度も現場を訪れ、その都度いろいろ調べ、いろんな人の意見を聞きながら「まずはこれから試してみましょうか」とウロウロしながら寄り添ってくれる人のほうが信頼できる。

「ふるさぽ」の態度は明らかに後者である。だから信頼できる。画期的な解決策を示すわけではないが、課題に対してしつこく取り組む。もちろん、いつまでも素人というわけではない。素人のように振る舞いつつ、実はすでにかなり経験と実績を持つ。知識や人脈を蓄積している。だからこそ、それぞれの現場に即したアイデアを絞り出すことができる。「やってみなくちゃわからない」と言いながら、最近ではかなり精度の高いアイデアを生み出している。それでも専門家風の態度を見せないから気軽に相談できるし、寄り添ってくれるから不安に感じていることを打ち明けられる。

なぜ「ふるさぽ」はこれほどしつこく、辛抱強く、相談者に寄り添い、地域の課題に取り組み続けるのか。それはきっと、彼らが「ふるさと」をサポートしているからだろう。諦めたり逃げ出したりできない対象を支援しているのだ。そこに彼らの覚悟を感じ取ることができる。

地域の未来を変える可能性は、突然どこかから降ってくるわけではない。それは、「ふるさぽ」の覚悟と態度が生活者に寄り添い続けるなかから生まれてくるものだろう。